昨日「朝日新聞デジタル」に「残業代は時給300円 工場逃げ出した外国人実習生」と題して、外国人実習生制度の中で、いかに外国人が不当な扱いを受けたかを語る記事がありました。
読み手にもよりますが、私個人的にはどうしても「外国人技能実習制度が良くない、という論調に進めたい」ような文章に見えます。
また、今回の記事のタイミングも「来る入管法の改正」が議論されている中にあり、事情に詳しくない一般読者には「入管法改正すると、このような不幸な出来事が起きてしまいますよ」と「外国人技能実習制度」と「入管法改正」をリンクさせ、問題提起している感があります。
基本的に、現在多くの技能実習生制度に係る人にとっては「外国人技能実習制度」と「今回の入管法改正」に関しては「別問題」と捉えている状態にも拘わらず、です。
まず、朝日デジタルの記事の題名にある「残業代は時給300円」が衝撃を持って見えますが、基本的にこれは「実習生制度の問題ではなく、重大な労働基本法違反」であり、それは「外国人や日本人関係なく、企業が処罰される対象」の話です。
またさらに記事を読み込むと記載してあった「休みなし、長期労働時間」なども同じ「労基法違反」です。
まったく「実習生制度の問題」ではありません。
しかし記事では巧妙に「実習生制度、実習生制度」と連記してあり、事情に詳しくない方にはどうしても「リンクさせやすいイメージ」が出来ています。
このような論調の進め方は「外国人実習生制度」に関わってきた者にとっては、不本意でしかありません。
まるで「政権批判の道具」にされているような感があり、「深刻な問題だ」と定義しながら全く深い議論になっていません。
すでに実習生制度に携わり、それを熟知した我々としては、「現在の外国人実習生制度」は厳格な実習生管理を求められますので、完ぺきではないものの、それなりに熟慮された制度であると考えています。
現在、問題として大きく議論されている事のほとんどは「外国人にとっても日本人にとっても問題な労働基準法違反」です。
これは、まったく「外国人実習生制度」における「制度」の問題ではありません。
読み手は、必ずこの部分を理解しなければ、誤解してしまうと思います。
メディアは是非、その事を念頭に置いた取材と発表をしてほしいものです。